HDDのデータ復旧方法|音が出ているときの判断と、復元できる範囲

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パソコンの中に入っている HDD が急に読めなくなった。Windows が起動しない、ドライブは見えるのに開けない、あるいは本体からカチカチと音がしている。

先に、いま取るべき行動だけ言います。カチカチという音が出ているなら、続きを読む前にそのパソコンの電源を切ってください。

音がしていないなら切る必要はありません。まだ読めるファイルを別の場所へ写すのが先です。

このページは、デスクトップやノートパソコンに内蔵された HDD が対象です。USB でつなぐ外付けの箱に入ったドライブは、電源やケーブルという別の疑いどころがあります。下の関連ページから外付け HDD のほうを開いてください。

先に結論

このページの判断は、すべて「HDD から音がしているか」を起点に分かれます。その分かれ方を含めて、要点を 5 つに絞りました。

  • 音がしているかどうかで、やることが正反対になります。 カチカチ、カリカリ、ジーという音が出ているなら、そのパソコンの電源を落としてください。音がしないなら、電源は入れたままでかまいません(分かれ道へ
  • チェックディスク(chkdsk)とドライブの最適化は、この段階では実行しません。どちらも「ディスクを使える状態に戻す」処理で、データを助ける処理ではありません(理由へ
  • 音がしていない場合、無料で戻せる可能性がある場所が Windows と Mac の両方にあります。ソフトを買う前にそこを見ます(探す場所へ
  • 復元ソフトを使うときは、インストール先を消えたドライブ以外にするのが最大の注意点です。ここを間違えると自分で上書きします(ソフト
  • 音・焦げたにおい・BIOS でも見えない。このどれかなら、ソフトを何本試しても結果は変わりません(業者

音がしているかどうかで、最初の一手が変わる

HDD の中では、円盤が高速で回り、その表面すれすれを磁気ヘッドという部品が動いています。ここが壊れた状態で通電を続けると、円盤の表面そのものが削られます。削れた面は、業者の設備をもってしても読み出せません。復旧の見込みを一番速く減らすのが、この「音が出ている状態での通電」です。

耳を近づけて、次のような音がしないか確かめてください。

  • カチカチ、カツンカツンと一定の間隔で繰り返す音
  • カリカリ、ガリガリという引っかくような音
  • 回り始めては止まり、また回り始める音
  • 高い音でジーと鳴り続ける音

ひとつでも当てはまるなら、シャットダウンの操作を待たずに電源ボタンの長押しで切ってください。この状態で「もう一度だけ起動して様子を見る」の 1 回が、読める領域を減らします。

音がしない場合は、慌てて電源を切る必要はありません。むしろ、正常に見えている今のうちに、まだ読める大事なファイルを別のドライブへ退避するほうが得です。読めるものから先に確保する、という順番です。

そして、音の有無にかかわらず手を出さないでほしい操作があります。

まずチェックディスク(chkdsk)。Windows がドライブの異常を検知すると「ドライブのエラーを修復しますか」と案内してきます。

この処理は、ファイルの管理情報のつじつまを合わせるために、読めなくなった部分を切り捨てたり、行き場を失ったデータを別の場所に書き出したりします。パソコンをまた使えるようにする目的では正しい処理です。

ただし、消えたファイルを取り出したい段階では逆向きに働きます。しかも書き込みを伴うので、痛んだ円盤には追い打ちになります。

ドライブの最適化(デフラグ)も同じです。断片化した領域を詰め直す処理なので、中身が大きく動きます。消えたファイルの痕跡は、この移動で上書きされます。

もう一つ、Windows の再インストールと初期化。起動しない原因が HDD にあるとき、画面の案内をたどっていくと初期化にたどり着くことがあります。ここまで進むと、データの取り出しは業者の仕事になります。

内蔵HDDの音の有無で分かれる、最初の一手の判定フロー HDDに耳を近づけて音を聞き、鳴っている場合と静かな場合で対処が正反対に分かれることを示した判定フロー。音がしている側は電源を切って業者に相談へ進み、音がしない側は読める分を退避してから復元ソフトのスキャンへ進む。左の列は通電を止める方向、右の列は通電したまま作業する方向。 HDDに耳を近づけて音を聞く カチカチ・カリカリと鳴る 回っては止まるを繰り返す 音はしていない 静かに回っている その場で電源を切る 長押しでかまわない 読める分を先に退避 外付けドライブへコピー 業者に相談する 通電せずに持ち込む 復元ソフトでスキャン 別ドライブに入れる 鳴っているとき 静かなとき 通電した分だけ削れる 読めるうちに確保する 部品の交換は個人では届かない 同じドライブに入れない
音が出ているHDDだけは、ソフトを試す前に通電を止める。音がしないHDDは通電したまま読める分を退避してからスキャンに進む。

お金をかけずに戻せる場所を先に見る

音がしていないなら、まず無料で戻せる場所を確認します。ファイルが消えた原因が HDD の故障ではなく操作だった場合、ここで終わることが少なくありません。

お使いの環境へ: WindowsMaciPhoneAndroid

Windows 11・10

Windows には、消えたファイルの控えが自動的に残る場所がいくつか用意されています。手間が少ない順に 4 か所並べたので、上から確認してください。

  1. フォルダーの「以前のバージョン」を見る。 消えたファイルが入っていたフォルダーを右クリックして「プロパティ」を開き、「以前のバージョン」タブを選びます。復元ポイントやファイル履歴が動いていた環境なら、過去の日時のフォルダーがここに並びます。日時を選んで開けば、当時の中身をそのまま取り出せます。
  2. ファイル履歴を確認する。 設定の検索欄に「ファイル履歴」と入れて開きます。外付けドライブを接続して有効にしていた場合、ドキュメントやピクチャの世代が保存されています。有効にした覚えがなくても、パソコンの初期設定時に案内に従って有効化していることがあります。
  3. OneDrive の「削除したファイル」を見る。 デスクトップやドキュメントが OneDrive の同期対象になっている Windows は多く、その場合、ローカルで消したファイルは OneDrive のごみ箱に移っています。ブラウザーから OneDrive にサインインして、ごみ箱を開いてください。既定では 30 日残ります。
  4. Windows File Recovery を試す。 Microsoft が無料で配布している復元ツールです。画面のないコマンド操作なので手はかかりますが、費用はかかりません。ただしこのツールを内蔵 HDD 自身にダウンロードすると、その書き込みが復元対象を上書きします。 別のドライブか、別のパソコンで入手して使ってください。

Mac

Mac で見るのはバックアップ系の 2 か所です。あわせて、実行する前に一度立ち止まってほしい標準機能がひとつあるので、3 つ目に挙げておきます。

  1. Time Machine でさかのぼる。 外付けドライブを Time Machine に指定していたなら、消えたファイルが入っていたフォルダーを開いた状態で Time Machine に入り、日時をさかのぼって復元します。バックアップ先のドライブは、内蔵ストレージが壊れていても無事です。
  2. iCloud Drive を確認する。 デスクトップと書類フォルダを iCloud Drive に同期していた場合、消したファイルは iCloud のごみ箱に 30 日残ります。iCloud.com からも同じものが見えます。
  3. ディスクユーティリティの First Aid は、実行前に一度考える。 First Aid はディスクの構造の不整合を修復する機能で、Windows の chkdsk と同じ性格を持ちます。読めなくなったディスクからデータを取り出したい段階では、先にスキャンとコピーを済ませてください。

iPhone から取り込んだ写真・動画だった場合

消えたのがスマホから取り込んだ写真や動画なら、元のデータが iPhone 側に残っていることがあります。パソコンに取り込んだ後で iPhone から消していても、「写真」アプリの「最近削除した項目」に 30 日間は残ります。iCloud 写真を使っているなら、iCloud.com のアルバムからも同じものを確認できます。

パソコンに取り込んだ時点でしか存在しないファイル(編集後のデータなど)は、この方法では戻りません。次の項目に進んでください。

Android から取り込んだデータだった場合

Android 側にコピーが残っていないかを先に見ます。Google フォトにバックアップしていた写真は、端末から消してもクラウド側に残り、ごみ箱にもバックアップ済みで 60 日、未バックアップで 30 日入っています。ファイル類は Files by Google のごみ箱に 30 日です。

パソコンへ移動(コピーではなく移動)したデータは端末側に残っていないので、この場合も次に進みます。

復元ソフトで読み出す

無料で戻せる場所になく、HDD から音もしていない。この条件がそろったときが復元ソフトの出番です。

削除やフォーマットの直後は、ファイルの本体はまだ円盤の上に残っていて、消えているのは「どこに何があるか」という管理情報です。復元ソフトは、管理情報を通さずに領域を端から読み、ファイルの形をした部分を拾い集めます。

内蔵 HDD で気をつける点は、ほかのデバイスと大きく違います。

  • ソフトのインストール先を、消えたドライブ以外にする。 SD カードや USB メモリなら、ソフトはパソコン側に入るので衝突しません。ところが内蔵 HDD が対象の場合、何も考えずにインストールすると、復元したいドライブそのものにプログラムが書き込まれます。別のドライブか、外付けドライブにインストールしてください。C ドライブが対象なら、そもそも別のパソコンにドライブをつなぎ替えて作業するほうが確実です。
  • 復元先も別のドライブにする。 拾い出したファイルの保存先を元のドライブに指定すると、まだ拾えていない領域を自分で潰します。
  • 起動しないパソコンでは、ドライブを取り出すか起動用メディアを使う。 Windows が立ち上がらない状態ではソフトを動かせません。HDD を取り出して別のパソコンに外付けでつなぐか、USB メモリから起動する形式のツールを使います。取り出しに自信がなければ、その時点で業者に相談する選択も現実的です。

EaseUS Data Recovery Wizard(EaseUS)

課金方式
期間契約(一定期間だけ使えるライセンス)
自動更新
なし
返金を受けられる期間
購入から 30 日
確認日
2026-08-07

1ヶ月間・1年間・永久の 3 種類があります。1ヶ月間と 1年間は期限の来るライセンスですが、購入ページに「1回払い」と書かれており、期限が切れると継続課金されずに停止します。以前に自動更新で契約した人の解約手順は、返金ポリシーのページに残っています

まず無料版でスキャンして、消えたファイルが出てくるか確かめる製品版の価格と購入条件を見る

EaseUS Data Recovery Wizard は、この分野で名前が挙がることの多い製品です。無料版でスキャンと検出結果の確認まで進められるので、消えたファイルが一覧に出てくるかどうかを確かめてから購入を判断できます。

ただし返金の対象になる理由は限定されていて、「復元できなかった」はそこに入っていません。購入前に上のリンクから確認してください。

同じ用途では MiniTool Power Data Recovery も候補になります。どちらも無料版があるので、まず両方でスキャンして、目的のファイルが出てくるほうを選ぶ進め方ができます。各製品の課金方式の違いは復元ソフトの比較にまとめてあります。

ソフトでは届かない状態

次のどれかに当てはまるなら、復元ソフトを何本試しても結果は変わりません。ソフトは「読めるドライブから消えたデータを拾う」道具であって、「読めないドライブを読めるようにする」道具ではないからです。

  • 前に挙げたような音がしている
  • 電源を入れても回転が始まらない、通電しても無反応
  • BIOS や UEFI の画面にドライブが表示されない
  • 焦げたようなにおいがする、落下や水濡れの後に読めなくなった
  • ドライブは見えるが、容量やドライブ名が本来と違う値で表示される
  • コピーを始めると数十 MB ごとに固まり、パソコンごと反応しなくなる

これらは、円盤やヘッドといった部品側の問題(物理障害と呼ばれます)を示すサインです。復旧業者は、ちりの入らない作業環境で分解して部品を交換したり、円盤から直接信号を読み出したりします。個人の部屋で開けてしまうと、その時点で読み出せる範囲が減ります。

依頼先を選ぶときは、初期診断の費用、復旧できなかった場合の請求、返送料の扱いを見積書で確認してください。判断の物差しはデータ復旧業者の選び方に 5 項目でまとめています。

業者に出すと決めたら、それまでパソコンの電源は入れないでください。 「見積もりの前にもう一度だけ」の通電で読める範囲が減ると、費用は上がり、戻る量は減ります。

次に同じことが起きないようにする

HDD は消耗品で、動く部品を持つぶん寿命があります。壊れないようにするより、壊れても困らない形にするほうが現実的です。

バックアップは別の物理ドライブに取る。 同じ HDD の中に別フォルダーを作ってコピーしても、ドライブごと壊れたときに一緒に失われます。外付けドライブか、クラウドのどちらかに置いてください。Windows のファイル履歴も Mac の Time Machine も、外付けドライブを 1 台つないでおけば動きます。

予兆に気づける状態にしておくのも効きます。HDD は自己診断の情報(S.M.A.R.T.)を持っていて、無料のツールで読み出せます。代替処理済みのセクタ数が増え始めた、といった変化は、壊れる前に交換する判断材料になります。ただし何の前触れもなく落ちることもあるので、これは補助と考えてください。

そして、動作音が変わったらその日のうちに退避する。起動が遅くなった、たまに引っかかるような音がする。こうした変化が出てから完全に読めなくなるまでには、数日から数週間の猶予があることが多いです。この期間に気づけるかどうかが、費用の分かれ目になります。

よくある質問

認識はされるのに「フォーマットする必要があります」と出ます。フォーマットしていいですか

しないでください。この表示は、ドライブの管理情報が読めなくなっているという意味です。フォーマットは新しい管理情報を書き込む操作なので、実行するとパソコンからは使える状態に見えるようになりますが、中身をたどる手がかりは減ります。この状態は復元ソフトのスキャンで中身が出てくることが多い部類なので、フォーマットせずにスキャンしてください。

chkdsk を実行してしまいました。もう手遅れですか

手遅れと決まったわけではありません。chkdsk が何をどこまで書き換えたかは状態によって違い、ファイルの本体が残っていればスキャンで拾える見込みがあります。ただし、ここから同じ操作を繰り返したり、修復系のツールを続けて試したりするのはやめてください。次に試すのは書き込みを伴わないスキャンです。

ノートパソコンのHDDを取り出すのは難しいですか

機種によります。底面のネジを外すだけで到達できるものもあれば、キーボード側から分解しないと届かないものもあります。機種名で分解手順を調べて、無理だと感じたらそこで止めてください。分解の途中でコネクタを傷めると、状態は確実に悪くなります。取り出せない場合は、パソコンごと業者に持ち込む形でも受け付けてもらえます。

SSDでも同じ手順ですか

前半は違います。SSD には円盤もヘッドもないので音では判断できず、しかも削除されたデータが自動で消される仕組みが働くため、時間の扱いが逆になります。SSD が対象の場合は、関連ページの SSD の記事を開いてください。


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